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CTF・セキュリティ学習

【SSRF・LFI編】サーバを内側から覗かせる手口と守り方|CTF思考フレームワーク #11

かも次郎とアンペンが「SSRF・LFI」を解説するマスコットイラスト
安全に生きたい編集部

こんにちは、アンペンです!

前回は、ブラウザ側の境界線であるSOPと、その例外を作るCORSの安全な使い方を学びました。

今回は、サーバー自身が外向き/内向きにリクエストを出してしまう問題、SSRFとLFIを扱います。「サーバを内側から覗かせる」攻撃と、その断ち方を見ていきましょう。

サーバが勝手に内部に通信するって、どういう仕組みで起きるの?

『URLを指定するとそのページを取りに行く』機能や、『パスを指定するとそのファイルを読む』機能を、攻撃者が内部向けに使わせるから起きるんだ。

SSRF、LFI——アルファベットが並ぶと急に身構えてしまいますよね。でも今日の話の芯は、たったひと言で言えます。『サーバに、代わりに取りに行かせる』。これだけです。本来は便利なはずの“お使い機能”を、攻撃者が悪用して、サーバ自身に内部の秘密を持ってこさせる。今日はその仕組みを、会社の受付係への“資料取り依頼”にたとえて、ゆっくりほどいていきます。

まず結論

SSRFはサーバを踏み台に内部ネットワークやクラウドメタデータへリクエストを送らせる攻撃、LFIはサーバ上の任意ファイルを読み込ませる攻撃です。URLやパスを利用者入力から受け取る機能は、必ず許可リストと内部宛拒否で固める必要があります。

この記事で分かること

  • SSRFとLFIの違いと、共通する考え方
  • クラウド上で被害が大きくなる理由(メタデータエンドポイント)
  • 演習環境での観察方法と、守る側の基本対策
難易度:すこし慣れてから 所要時間:11分 体験:入力で行き先を変える おすすめ:#10の後

📖 はじめてのWebセキュリティ #11|SSRF・LFI編
『便利な取得機能』を題材に、サーバが攻撃者の手足になる仕組みを学びます。 シリーズ一覧を見る →

⚠️ 大事なお約束
この記事の確認は、CTF・公式ラボ・自分で作った検証環境だけで行ってください。実在のサービスに対し内部IPやmetadataエンドポイントを試す行為は不正アクセス等に該当する可能性があります。

SSRFとLFIは「便利な機能」が裏返ったもの

SSRF(サーバサイドリクエストフォージェリ)は、ユーザが指定したURLをサーバが取りに行く機能(プレビュー、Webhookなど)で発生します。LFI(ローカルファイルインクルージョン)は、ユーザが指定したパスをサーバがファイルとして読み込む機能で発生します。

どちらも「便利な取得機能」が前提です。サーバ側で行き先を制限していないと、攻撃者は内部のIPアドレスや、本来見えないはずのファイルを指定して、サーバに代わりに読みに行かせます。

なぜサーバに取りに行かせると、そんなに強力なのでしょう。理由は『サーバは内側にいる住人』だからです。外部の攻撃者は、社外から内部ネットワークには入れません。でもサーバは、内部の管理画面にも、設定ファイルにも、堂々とアクセスできる立場にいます。その“内側の住人”を操って使い走りにできれば、外からは絶対に届かない場所の情報まで引き出せてしまう。SSRFが怖いのは、まさにこの“立場の乗っ取り”だからなんです。

まず『便利な取得機能』とは何か、具体例で見てみましょう。たとえば「URLを貼ると、そのページのプレビュー画像を表示する」機能。あるいは「画像のURLを入れると、それをアイコンに設定する」機能。これらはどれも、利用者が指定したアドレスへ“サーバが代わりにアクセスしに行く”仕組みです。ふだんは超便利。でも、この“行き先”を攻撃者が自由に書き換えられたら——というのが、今日の出発点です。

図解:SSRFとLFIの動き

サーバがURLを受け取って取りに行く機能で、攻撃者が内部IPやメタデータURLを指定して内部リソースを覗かせる比較図
サーバが行き先を制限していないと、内側のリソースまで読みに行ってしまう。

通常の使い方と、攻撃者が内部宛に書き換えた場合を比べると、サーバが何を取りに行くかが大きく変わります。

受付係に資料取りを頼むと、限定しなければ機密文書まで持ってきてしまうたとえ図
サーバが取りに行く先を限定しないと、内部資料まで持ち出されてしまう。
📁 たとえるなら、受付係への「資料取り依頼」

会社の受付係に「お客様の資料を持ってきてください」と頼める仕組みがあるとします。本来は来客用の応接室にある資料を想定していますが、もし指定先を制限していなければ「役員室の人事ファイル」「秘密のサーバルームの資料」も持ってきてもらえてしまいます。SSRFとLFIは、まさにこの状況です。

ここで覚える用語:メタデータエンドポイント
クラウド上のサーバから自分自身の情報(認証情報・設定など)を取得するための、特殊な内部URLです。AWSなどでは 169.254.169.254 といったIPで提供されており、SSRFで叩かれると一時クレデンシャルまで奪われる、極めて重大な被害につながります。

このメタデータエンドポイント、SSRFの世界では“最後の大物”とも言える存在です。クラウド上のサーバは、 169.254.169.254 という特別な内部アドレスに聞くと、自分自身の鍵束(一時的な認証情報)を教えてもらえる仕組みになっています。これは本来、サーバ自身のための便利機能。でもSSRFでここを叩かれると、攻撃者はその鍵束ごと手に入れて、クラウド上の他の資産にまで手を伸ばせてしまう。だから「内部の特別アドレスには行かせない」ことが、何より重要になります。

SSRF/LFIの典型パターン

SSRF/LFIの狙われ方は、大きく3つです。『外から見えない内部サービスを覗く』『クラウドの鍵束(メタデータ)を奪う』『サーバ上の設定ファイルを読む』。前の2つがSSRF、最後がLFI寄りですが、根っこは同じ。“利用者が行き先を指定できる”という一点から、すべてが生まれます。

代表的な狙われ方

内部サービス・クラウドメタデータ・設定ファイルなど、SSRF/LFIが狙う3つの典型を示したカード型インフォグラフィック
①内部サービス ②メタデータ ③設定ファイル。守りはホワイトリスト+内部IP拒否+メタデータ遮断。
  • SSRFで内部サービスへアクセス:外部からは見えない内部APIや管理画面をサーバ経由で叩く
  • SSRFでクラウドメタデータを取得:クラウドの一時クレデンシャルを奪い、権限昇格やデータ持ち出しにつなげる
  • LFIで設定ファイルを読み取る: /etc/passwd やアプリ設定、ログファイルからシステム情報や認証情報を抜く

これらはURLやパスを利用者入力で受け取っている部分が共通点です。プレビュー機能・Webhook送信・ダウンローダー・テンプレ読み込みなど、対象になる機能は意外と多くあります。

ここで『うちのサイトにそんな機能あったかな?』と思った人へ。実は対象になる機能は、想像よりずっと多いんです。URLプレビュー、Webアバター取得、Webhook送信、PDF生成、ファイルダウンローダー、テンプレート読み込み……「利用者が入れた文字をもとに、サーバが何かを取りに行く」ものは、すべて候補。だからまず大事なのは、自分のサービスの中で“行き先を利用者が決められる場所”を棚卸しすることなんです。

では、自分のラボでそういう機能を探してみましょう。実際に内部IPを叩く必要はありません。「この機能、行き先を私が指定できてしまうな」と気づくだけで十分です。本物のサービスでメタデータURLや内部IPを試すのは、たとえ確認目的でも厳禁。安全な環境で“入力が行き先になっている経路”を見つける——それが今日の練習です。

CTFでやってみよう:URLやパスの取り扱いを観察する

やってみよう / 演習環境限定

「行き先」を利用者が指定できる機能を、自分のラボで探そう

目的は実際に内部を覗くことではなく、入力からURL/パスが組み立てられている経路を見つけることです。

  1. CTFや自分の検証環境で、URLを入力する機能(プレビュー・Webhookなど)を探す
  2. 同様に、パス名を入力する機能(ダウンロード・テンプレート読み込みなど)を探す
  3. サーバが応答するURLや内容に、入力した値がそのまま反映されているか確認する
  4. サーバ側のログがあれば、内部宛リクエストが発生していないか観察する
  5. 許可リスト/拒否リストがコード上で明示されているかを確認する
内部IPやmetadataエンドポイントへの本物のリクエストは、本番サービスでは絶対に試さないでください。確認は自分のラボで行います。

守りの話に入る前に、一つだけ注意点を。『入力をチェックすればいい』と思いがちですが、これが意外と抜けやすいんです。

『内部IPっぽい文字列を弾く』だけじゃダメなの?

それだけだと、すり抜けられることがあるんだ。たとえば一見ふつうのドメインでも、その名前が内部IPに解決されるよう仕込まれていたり、いったん許可されたあと別の場所へ転送(リダイレクト)されたり。文字の見た目だけ見ても“最終的にどこへ届くか”は分からない。だから守りは、名前ではなく『解決された実際のIP』で判断して、ネットワーク側でも内部宛をブロックする——二重三重に固めるのが正解だよ。

守る側なら、「行き先を絞る」を徹底しよう

SSRF/LFIの守りの核は、「利用者入力からURLやパスを組み立てるとき、行き先を絞る」ことです。バリデーションだけでは抜けやすいため、ネットワーク・OS・アプリの3層で塞ぐのが理想です。

守るための基本チェック
  • URLを受け取る機能では、許可ドメイン許可プロトコルをホワイトリスト化する
  • 解決後のIPアドレスをチェックし、内部IPやループバック・リンクローカルを拒否する
  • メタデータエンドポイント(IMDSv1)はネットワークレベルで遮断、IMDSv2を強制する
  • LFIではパスをサニタイズし、特定ディレクトリ配下のファイルだけに限定する
  • そもそも利用者入力からファイル名・URLを組み立てない設計に寄せる(ID参照経由など)
  • 外向き通信そのものに、ネットワーク側からの宛先制限を組み合わせる

『便利な取得機能』はそれだけで危ない、と思っていいんだね。

『行き先を利用者が決められる機能』は、SSRF/LFIの可能性をまず疑うのが正解だよ。

ここまでをひと言で言うと、SSRF/LFIの本質は『行き先を利用者に決めさせてしまった』ことです。だからいちばん強い守りは、そもそも“行き先を選ばせない”設計。どうしても必要なら、行ける場所をホワイトリストで決め打ちし、内部だけは何があっても通さない。自由度を捨てる勇気が、ここでは安全に直結します。

まとめ:行き先を絞れば「内側を覗かせる」を断てる

今回のポイント
  • SSRF/LFIは便利な取得機能が攻撃者の手足になる問題
  • クラウドではメタデータエンドポイントが奪取されると被害が連鎖する
  • 守る側はホワイトリスト + 内部IP拒否 + メタデータ遮断を組み合わせる
  • 「利用者入力でURL/パスを組み立てない」設計が理想

今日の持ち帰りは『サーバのお使いには、必ず行き先リストを持たせる』です。便利な取得機能は、放っておくと“なんでも持ってくる使い走り”になってしまいます。行けるのはここだけ、内部には絶対行かない——その地図をサーバに渡しておけば、内側を覗かせる攻撃はぐっと防ぎやすくなります。

次回は、複数の処理が同じデータを取り合うときに起きるレースコンディションを扱います。タイミングの隙間を突く攻撃と、その守り方を見ていきましょう。

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参考資料

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